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電気新聞に四日市コンビナート先進化検討会の取組が掲載されました。
【電気新聞令和3年2月4日掲載】

 令和2年11月24日(火)に国際大学大学院国際経営学研究科橘川武郎教授が、本市を来訪され、市消防本部において四日市コンビナート先進化検討会の取組について意見交換会やドローンのテストフライトをご覧になった際の内容が、電気新聞の「ウェーブ」欄に掲載されています。

 掲載内容は以下のとおりです。 【電気新聞令和3年2月4日掲載】

四日市の青空にドローン

 昨年の11月、四日市コンビナート先進化検討会が主催する会合で「水素とコンビナート」と題する講演を行う機会を得た。ただし、今回の四日市行には、もう一つ目的があった。ドローンを使ったスマート保安の実際を、見聞することである。

 訪れた先は、なんと四日市市消防本部。市当局と市消防本部、そして民間企業の三者の連携が進む四日市コンビナートでは、ドローン使用を含むスマート保安に関して、全国で最も先進的な取組みが進行中である。

 ドローンを設備点検や運転パトロールに活用することができれば、情報収集能力を飛躍的に向上させ、情報の履歴管理、画像解析による腐食自動判定と結びつけて、保安力の向上や作業負荷の軽減を図ることが可能になる。このような意味を持つコンビナート内でのドローン使用に関して先陣を切ったのは、四日市コンビナート先進化検討会の中心メンバーでもあるJSRである。同社は、茨城県・鹿島工場で、2017年に非危険物エリアの設備点検にドローンを使い始め、19年3月に経済産業省・総務省・厚生労働省から出されたプラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドラインに基づき、同年6月には定修停止期間に危険物施設の上空からドローンによる飛行点検を行った。

 しかし、ドローン使用を含むスマート保安を実用化することは、容易ではなかった。自治体や消防当局との調整が難航し、大きな壁にぶちあたってしまった。その壁を初めて崩しつつあるのが、四日市での取り組みである。

 四日市市消防本部は、19年5月1日に2つのガイドラインを公表した。①「製造所等における非防爆携帯型電子機器に係るガイドライン」と、②「コンビナート事業所におけるドローンの運用ガイドライン」が、それである。①によって、一定の条件を満たせば、製造所等において非防爆型タブレット等の携帯型電子機器を使用することが可能になった。また、②を踏まえて、コンビナート事業所の保安分野においてドローンを活用する動きが始まっている。

 四日市コンビナート先進化検討会(会長は平野創・成城大学教授)には、JSRをはじめコンビナートを構成する主要な企業が委員として名を連ねる。事務局を務めるのは四日市市で、その中には市消防本部予防保安課も含まれる。市役所と市消防本部との間では、人事交流も活発だと聞いた。この市・消防本部・企業の三位一体の連携こそ、四日市をスマート保安のフロントランナーに押し上げた要因だと言えそうだ。

 消防本部で、ドローンがコンビナート内の諸施設を撮影した動画を見せていただいた。画面は鮮明で、目視では把握しにくい状況も手に取るように確認できる。赤外線透視カメラを使った動画では、パイプ内の留分の流動状況も可視化されていた。四日市市消防本部は、実際の火事の現場でもドローンを安全な形で運用し、残り火の発見・消火などの成果を上げているそうだ。

 最後に、市消防本部の屋上で、ドローンの運転実演を見学させていただいた。特別な免許をもつ本部員の方が操縦するドローンは、安定した足取りで、どこまでも青い四日市の空を上昇していった。それを真下から見上げた時、わが国でも、新しい時代が確実に始まりつつあることを実感できた。

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